かつては「縦笛」？

　木管楽器の一種。 リードを使わないエアリード（無簧）楽器であり、唇から出る空気の束を楽器の吹き込み口の縁にあてることで発する気流の渦（エッジトーン）を発音源とします。

　現在、一般にフルートというと、ここで述べる数々のキー装置を備えたオーケストラに用いられる横笛を指しますが、古くは広く笛一般を指したそうです。 特にバッハなどバロック音楽の時代にあっては、単にフルートというと、現在一般にリコーダーと呼ばれる縦笛を指し、現在のフルートの直接の前身楽器である横笛を指すには、「横の」（トラヴェルソ）という形容詞を付けて「フラウト・トラヴェルソ」と呼ばれていたようです。

　現代では、ごく少数のグラナディラなどの木製楽器を除いて、通常は洋銀、銀、金、プラチナなどの金属で作られますが、歴史的、構造的に、金管楽器ではなく、無簧の木管楽器に分類されるのですよ。

【フルートの音域】

鳥の模倣としても…
　フルートは発音にリードを用いないため、ほかの管楽器よりもタンギングの柔軟性は高いです。 また、運指が比較的容易なことから運動性能は管楽器の中で最も高く、かなり急速な楽句を奏することも可能ですね。 管楽器の中で音量は小さい方でも、音域が高いため耳につきやすいです。 フルートの音色は鳥の鳴き声を想起させ、楽曲内で鳥の模倣として用いられることも多いのです。 例えば、サン＝サーンスの組曲『動物の謝肉祭』の「大きな鳥籠」、プロコフィエフの交響的物語『ピーターと狼』などで使われていますよね。

　フルートは独奏や室内楽で用いられるほか、オーケストラおよび吹奏楽においても定位置を確保していますが、ジャズでの使用頻度はサクソフォーンやトランペットなど、ほかの管楽器と比較して低いです。 また、ジャズ専門のフルート奏者は少なく、サクソフォーンなどのジャズプレイヤーが持ち替えるか、フルート奏者がクラシックとジャズの両方で活動するというケースが多いです。

　アマチュアを含めたフルート人口はほかの管楽器と比較して多く、フルートの同属楽器で構成したフルートアンサンブルやフルートオーケストラがあります。

　楽器はキーを右にして構え、下顎と左手の人さし指の付け根、右手の親指で支えます。

　そもそものフルートはD管であり、その低音域を拡張する目的で後に足部管を継ぎ足した姿が標準的な現在の姿になったのですが、現在は移調楽器としてみなされてはいないものの、古来の姿のまま足部管を持っていないピッコロなどの最低音がD音であるのは、その名残であるといえます。

フルートの特殊奏法

１．フラッターツンゲ
　（フラッター、フラッタータンギング、巻き舌）
　巻き舌や喉を震わせることにより、トレモロ的効果を生み出す奏法。舌と喉では若干音色が異なります。

２．ハーモニクス
　（フラジオレット、倍音奏法）
　低音域の運指のまま高い倍音を出す奏法。

３．重音奏法（マルチフォニック）
　特殊な運指により2音以上の重音を出す奏法。たいていの場合は割れたような荒々しい音になります。

４．ビスビリャンド・トリル（カラートリル）
　運指から離れた下のほうのキーを開閉することにより、同音上で微妙に異なる音色によるトリルができます。 運指によっては替え指が微分音下方になることもあり、F#4以上の音域で可能。

フラッターが出来たわ！

私はハーモニクスも
出来るのよ！

５．息を含む奏法
　（ブレストーン、ブレスノイズ、エオリアントーン、むら息）
　発音と同時に息が歌口や歯の間から漏れる噪音を発する奏法。日本の尺八から影響を受けた奏法ともいわれます。

６．キー・パーカッション
　（キークリック、キークラップ）
　息での通常の発音と同時にキーを強く叩く音を混ぜることにより、発音の瞬間における打楽器的効果を混ぜます。

７．リップ・ピッツィカート
　（スラップタンギング、クアジピッツィカート）
　弦楽器のピッツィカートに似た音響を発し、通常のタンギングの圧力を高めるやり方、舌を唇にあて内圧で弾くやり方、両唇を弾くやり方等があります。

８．タングラム
　唇全体で歌口を覆い、舌を勢いよくライザー部に当てることにより、管体に共鳴させます。 これによりフルートは閉管構造として共鳴するため、運指よりも長7度低い音が出ます。

８．ホイッスルトーン（ウィスパートーン）
　息を送る具合を調節することにより、高音域において倍音音列に基づく非常に虚ろな音を出す奏法。


　フルートって、女性的なイメージが強いですが、時には鋭い響きや効果音みたいな一面も演ずることが出来るすぐれもの。 特殊奏法も、上記の１，２項(フラッター、ハーモニクス)が出来るだけでも重宝ですよ！

　では、ピッコロも含めてご紹介！

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